レポート Report

桜井公美さんのリーダーのすすめ

7月22日(土)の自律的キャリア教育の授業において、プレモパートナー株式会社の代表取締役 桜井公美さんに講演いただきました。講演の内容は⒈ 医療機器業界で働き続ける理由、⒉ リーダーの役割、⒊ プライベートと仕事の両立の3本立て。キャリア、結婚、子育てを通してわかる大切な“学び”についてお話しいただきました。

自分の「好き」を追い続けて

桜井さんはアカデミアで15年間勉強・研究の後、外資系医療機器メーカーに転職。「自分が今まで研究してきたことを活かしたい!!」と、ベックマンコールター社とメドトロニック社でマーケティングに従事します。そして3社目のセントジュードメディカル社に移るも、半年後にアボット社に買収されることに。

「自分のやりたいことをずっと続けてきたけれど、外的要因で環境は変わってしまう」。そう実感し、起業を決意。マネジメントを学ぶためMBA課程を専攻し、プレモパートナーを共同創業します。同社はインキュベーターとして医療機器開発のスタートアップ支援を行っています。

桜井さんは研究者時代に結婚、出産を経験しています。子育て中も週3日は研究に従事。在宅勤務なども活用し、子育てに奮闘しました。「自分の好きを軸に優先順位をつける」。桜井さんはそうすることで、家庭と仕事のどちらかを選ぶのではなく、つまり、妥協ではなく折り合いをつけることで、自分の進む道を切り拓いてきたのです。

医療業界のインキュベーターとして

現代の医療機器は、従来にないアイデアと最新のテクノロジーが融合され、その進化には目を見張るものがあります。最近は、IT企業家のヘルスケアへの投資も目立っています。「ヘルスケアはあらゆる人に関係すること。テクノロジーで解決できるのであれば、それを実装化するために協力したいという強い想いがあるのではないか」と桜井さんは言います。

 今、大学での研究の種を育てるため、ベンチャー企業に多くの資金が投じられています。しかし、長年研究だけに従事してきた人たちに突然資金を渡しても、起業家として成功するのは難しい。そんな人たちのために起業のノウハウを提供するのがインキュベーターです。桜井さんは日本で2社目となる医療機器業界のインキュベーターとしてプレモパートナーを立ち上げました。「1社では足りないなと思って、2社目を立ち上げた」。必要とされる医療機器を少しでも早く人々に届けたいという強い想いがあったのです。

体験の積み重ねから見えてくること

さまざまな企業でマネジメントをするなかで「みんなでやれば面白いことができる」と桜井さんは実感しました。「どうすればみんなの力を最大限に出せるか」「時間を効果的に使えるか」。常にこれらのことを考えながらリーダーとして仕事をしています。印象的だったのは「早く行きたければ1人で、遠くへ行きたければみんなで」という言葉。

プライベートと仕事を両立していくなかで、桜井さんは「自分の価値を自分で決める」ことを大切にしています。ただやりたいことをやるのではなく、我慢すべきことを認識し、強みを見出し、自分の価値とは何かを考える。唯一無二の自分を見つけることは仕事をしていくうえで大事なことだと言います。

そして何よりも重要なのは、相手をリスペクトし、日々の生活で思いやりとコミュニケーションを大切にすること。どんなに辛いときでもこれらを常に念頭に置くことで、自分だけでなく他者と一緒になって実力が発揮できる。

実体験から沸き上がってくる桜井さんの言葉の数々には強い説得力がありました。

桜井公美

プレモパートナー株式会社代表取締役。大学院で生体工学を専攻後、アカデミアで10年以上血栓の研究を行う。 その後、外資系の医療機器企業で14年間、学術・マーケティングに携わる。 プレモパートナー株式会社を起業し、現在は国内外のスタートアップや大企業に対し、医療機器に特化したインキュベーターとしての支援を行う。https://www.premopartners.com

本レポートは、自律的キャリア教育として、社会で活躍する女性にご講演いただき、学生が聴講、インタビューしてレポートを作成しています。

指導教員:石橋勝利 株式会社アクシス デザインデベロップメント ディレクター