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社会課題を行動デザインで解決するアイディアを共創 オリジナルの行動デザインカードも公表

共創デザイン学科2年生は、NTTデータ経営研究所(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹)が実施した「行動デザイン論」の講座を通じて社会課題解決にデザインを活用する方法を学びました。「子宮頸がん予防」、「朝食欠食」、「かかりつけ婦人科医をもつ」、「災害対策」という若者が当事者である社会課題について、どうすれば行動しやすくなるか、学生ならでは解決策を考案しました。また、行動デザインで社会課題を解決する共創の輪が広がることを目指し、行動に影響する要因を調べてカードにするワークで作成した「行動デザインカード」をビジネスパーソンや企業、行政、団体に向けて公表しました。

背景・目的

人の行動を変えること(行動変容)が公共施策やサービス、プロダクトにおいて欠かせない要素となっています。しかし、正しいと分かっていても実行できない、始めても継続できないなど、人の意識と行動にはギャップがあります。行動デザインは、どうすれば行動しやすくなるのかを、人の行動特性や心理を考慮して検討するアプローチです。

共創デザイン学科は多様な領域で共創しながら価値を創造する「共創型リーダーシップ」人材を養成するため、産官学連携による実践的な教育を行っています。デザインをプロダクトやクリエイティブだけでなく、行動に活かすことでデザインの更なる応用可能性を学生に感じてもらいたいと、株式会社NTTデータ経営研究所の協力を得て共創デザイン学科2年生向けに講座を開講しました。

同社は国内で早くから行動デザインに着目して社会課題やビジネス課題に応用しており、行動デザインコンサルティングの豊富な実績があり、共創デザイン学科の構想にノウハウを活かせるのではないかと考え、連携が実現しました。行動デザインチームの多くのベテラン・若手コンサルタントが講師役となり、2024年前期の授業として行動をデザインすることで社会課題の解決を目指すワークに60名の学生が2か月間取り組みました。

◎実施内容

  • 事例から行動デザインのプロセスを学ぶ
  • 解決したい社会課題のテーマを選択
  • 身近な人へのインタビューやリサーチでテーマ理解を深める
  • 行動に影響をする要因を学び、調べ、カードを作る
  • テーマのターゲットと目標行動を決めて行動の阻害要因を分析する
  • 校外観察で仮説を検証し、行動を変えるヒントを得る
  • 行動を変えるアイディアを発表、ピアフィードバックをもらいアイディアを磨く

行動を変えるデザインアイディア

講座にはNTTデータ経営研究所の招きで安田日本興亜健康保険組合も協力。健保組合が取り組む社会課題の中で、若年層の女性が当事者である「子宮頸がん予防」、「朝食欠食」、「かかりつけ婦人科医をもつこと」の課題と健保組合の取組を紹介。これらのテーマに学生自身が提案した「災害対策」を加えた4つのテーマに10グループで取組みました。

同じテーマに複数のグループが取り組むことでお互いの分析やアイディアにフィードバックし合うことが可能となりました。また、外部講師によるフィードバックも受けてアイディアをブラッシュアップしました。

子宮頸がん予防アイディア「親世代向けリーフレット」

行動デザインカード

行動をデザインする重要なステップの一つが、行動プロセス分析です。ターゲットとする生活者やユーザーが行動するまでにどのような障壁があるのか、意思決定して実行するまでのステップごとに周囲の環境や知識・能力、実行手段や心理など、行動に影響する要因を洗い出すことです。本講座では行動に影響する60の要因を特定してカードを作成することで、学生が行動を深く理解し行動をしやすくするアイディアを創出するために使いました。

一部の行動デザインカード(行動に影響する要因)をクリエイティブ・コモンズライセンスにより公表しますので、行動デザインで課題解決に取り組むビジネスパーソンや行政職員、NPOなどで活動する方はご自由にお使いください。

◎カード一覧(38枚)のダウンロードはコチラ

ご利用条件はクリエイティブ・コモンズ表示2.0一般ライセンスの下に提供しています。「女子美術大学共創デザイン学科」のクレジット表示をお願いします。

◎カードの使い方

  1. 問題について、現状やこれまでの取組を調べる。
  2. 誰のどのような行動が変われば解決するか考える。ターゲットとする生活者/ユーザー(対象者)の問題行動を「してほしい行動」に変換する(目標行動)。
  3. 目標の行動をとるためのきっかけから実際に行動するまでのステップを書き出す。
  4. ステップごとにどのような障壁があるか、行動デザインカードを使ってアイディアを出す。(カードにない要因も多くあるため、カードは考えるための呼び水として使用)
  5. 優先して取り組むべき行動の障壁を選び、その影響を弱めるかうまく利用することで動機を高めたり、行動しやすくしたりするための方法を考える。

学生の声

子宮頸がんワクチンはずっと打とうと考えていたのですが、めんどくさいが勝って結局打っていませんでした。子宮頸がんグループの子たちのプレゼンを見てちゃんと打ちにいこうと思いました。

グループで話し合あってたくさん情報を調べて実際に現場に足を運んだりしているうちにどんどんやりたいことや伝えたいことが明確になっていって、本当に誰かの行動を動かせるんじゃないかなと思えるようになりました。

行動をデザインする際には、まず自身の行動の見直しも大切だと学びました。

他人任せではなくて、一人一人の行動の小さな積み重ねで社会が改善していくかも知れないと思いました。

共創に関わった人