ビジネスをデザインするという挑戦
――― チームワークが導いた新しいアイデア
学生ビジネスプランコンテスト「JUMP」は、次世代を担う若者たちが自らのアイデアを形にし、ビジネスとしての可能性を追求する場(主催:一般社団法人AgVenture Lab)。全国から多くの学生が参加し、社会課題の解決や新たな価値の創出を目指した多様なプランを発表する。共創デザイン学科では、企画内容からプレゼンテーションまで全てを学生たち自身で作成しコンテストに参加した。審査員からの鋭いフィードバックやメンターによる実践的なアドバイスを通じて、自らのアイデアをブラッシュアップし、発表当日には堂々とプレゼンテーションを披露。ここでは一次審査を通過したグループの企画内容の紹介とコンテストを通じて得られた成果や気づき、学生たちの体験談を紹介する。
栄養不足に悩むあなたへ
チームおともだちが提案したのは、日々の栄養不足に悩む女性をターゲットとする「あなたのおとも」というふりかけのビジネスアイデア。
グループメンバーの4人中3人が一人暮らしを経験し、栄養バランスを考えた食事づくりが大変で、もう少し自炊の負担を減らしたいという願いからこのアイデアが生まれた。栄養バランスを考えるという悩みのほかに、学業とバイトを両立しながら何をつくるのかを考えたり、食材の値段を考慮しながら買い物をしなければならないことも大変といった課題も上がった。
アイデアを練っていくなかで、世の中ではふりかけが人気であること、社会課題として20代、30代の女性の約5人に1人がやせ状態になり、栄養失調が深刻化していることがわかった。栄養失調状態が続くと、骨粗しょう症、貧血や冷え、卵巣・月経機能の低下、低出生体重児などが引き起こされるリスクが高まる。その解決策としてチームおともだちは、一人暮らしの女性の自炊への負担を軽減するために手軽に栄養を摂取できる商品が必要であるとし、日々の栄養バランスを補うふりかけ「あなたのおとも」を企画した。
ふりかけの効能は「貧血・冷え性・不眠・PMS・便秘が原因の肌荒れ」の5つ。これらは共創デザイン学科2年生(アンケート調査時は1年生)への身体の不調についてのアンケートをもとに決定した。
5つの効能をそれぞれの商品とし、味は「醤油・鮭・卵」を展開。パッケージデザインは動物をモチーフとしたキャラクターが身体の不調を訴えているイラストを用いることで手に取って貰いやすくしている。新規性としては、食事への満足感が気持ちのサポートになること、女性目線のふりかけであること、手軽で栄養価が高いことの3つを挙げている。また、白米にふりかけるだけでなく、パスタやスープなどに使用可能なところもポイントだ。市場の成長性については、競合をふりかけとせずカップ麺や栄養食とし、他社よりも安価で健康的な食事を届けることができると考えている。パンと比べたお米の魅力をまとめ、ふりかけである必要性についても述べた。
若い女性たちのお米離れ防止のため、主催の農業協同組合(JA)をステークホルダーとしてビジネスモデルに組み込んだ。実施・収支計画はリサーチと話し合いを重ね、5年間を目処に計画。1年目はマルシェで試作品を販売し、自分たちの熱量を訪れた人に伝えると同時にターゲット層の強化を行う。2年目は「あなたのおとも」の販売を本格的に開始。ペルソナに合わせたスーパーでの販売やECサイトの作成と専門家とのコラボを目指す。3年目にはネット通販や婦人科での販売、料理教室の開催により実績をつくる。4年目はふりかけのレシピ本を発売し世間への認知を広め、5年目には利用者からのフィードバックをもとにニーズに合わせた商品を展開し、新商品開発を行う。
プレゼンテーションでは「毎日の食卓に健康と幸せを届ける、新しい生活の“おとも”で、たくさんの女性の食生活を変える未来をつくります!」と締め括った。
チームおともだちのメンバーにインタビュー
どうして女性目線のふりかけを考えることになったのですか?
H.K SDGsの観点から、廃棄食材でふりかけをつくれるのではないかという話も出ました。
O.S 自分の周りでは、飲食店のアルバイトをしている人が多かったのでフードロスの問題もすぐに話題にあがって、その課題を解決できるふりかけをつくれたらいいよねっていう話も出ました。
K.G 他の観点が多くて、その案はなくす方向になりました。
他の観点とはどういうものがあったのですか?
O.S フードロス食材から生み出したふりかけは、果たして女性の健康にいいのか、買ってくれるのかというようなことです。企画を練るなかで時間の制限もあったので、そこはなしになりました。
ちゃんとした食材を使うということになったんですね。それぞれ企画段階で担当したことは何ですか?
H.K 作業は、それぞれの得意分野に応じて分担しないと進まなかったため、最初に役割分担を決めました。「何をやりたいか」を話し合い、そのときどきで各自が得意な部分を担当しました。例えば、1人が「この日は予定があって時間が取れない」といった場合には、事前に進められそうな作業をお願いして、その他の作業量の多い部分やその人ができない作業を他のメンバーで進めておくというように柔軟に進めていきました。
前回のビジネスコンテストにも参加していますが、そのときとの違いはありますか?
H.K 前回はチーム内で上手く連携が取れなかったという反省から、今回はそこの問題点を振り返って、上手く連携が取れました。
この企画を見たとき、実体験をもとに考えられて、内容も細かく現実味があったので審査に通過したのだと感じました。皆さんはどんな理由でこの企画が選ばれたと思いますか?
K.G はっきりとはわかりませんが、審査員は男性の割合が高かったので、女性の気持ちに徹底的に寄り添った内容が新鮮に映ったのではないかと思います。それと、身近な悩みをテーマにしていて、他のグループのように壮大なものではなく、意外な視点からの企画だったというのも理由だと思います。
O.S あとは、デザイン性も高かったからですかね。
確かに、SDGsなどに直結した難しい企画内容よりも、身近な女性の悩みを解決するという企画のデザイン性が良かったんですね。素敵だと思いました。二次審査ではどのような対策をしましたか?
O.S 新たに何かを始めるというよりは、すでに提出したもののブラッシュアップを毎日ひたすら続けていました。
冬休み中ずっとですか?
O.S お正月前くらいまでずっとかな。
K.G 大晦日もずっと作業していました。スライドの統一感とか、イラストを増やして見ている人が理解しやすいようにとか、発表の内容とか発言に合わせて変えてみたりとか。
H.K いちばんこだわったところは、パッケージの改善と栄養についてです。パッケージのイメージが少し違うという意見がチーム内で出たので、配色の調節など細かくこだわりました。あと、つくりたい商品のイメージはあるものの、それに栄養が伴っていない、食材まで考えきれていないという部分があったので二次審査では栄養についての内容も考え直しました。
一次審査から二次審査までどれくらいの期間でしたか?
K.G 一週間くらいです。
H.K 二次審査が通っても、その後のプレゼンまでの期間がとても短くてスケジュールを立てるのが難しかったです。
O.S 毎日作業をしていたから、毎日寝落ち通話してました(笑) 。
H.K でも、それは二次審査があるからというわけではなくて、一次審査のときもそうでした(笑)。
そんなにがっつり作業しているって気が付かなかったです。
O.S みんなの時間が合わなかったから、大学で作業していることは少なかったですね。夜のバイト終わりの11時以降にご飯を食べながらとか。
ビジュアル面でこだわったことはありますか?
O.S スライドの表紙です。先輩がたが去年やっていたビジコンでのお題を見させてもらったのですが、表紙がすごく綺麗で「美大感あるな」と思って参考にしました。
K.G 自分たちで絵を描いて、フォントとかずっと悩んで相談しながら頑張ってました。
全部自分たちで完全オリジナルだったんですね。
H.K そうです。そうしないとあそこまでの結果はもらえなかったと思います。
K.G 前年のコンテストで選ばれたチームの発表で、フード系とか、自分たちとテーマが似ている受賞者の内容やスライドをめっちゃ分析して参考にしました。
二次面接はどうでしたか?
O.S リモートで受けました。
H.K 若干怖かった(笑)。
何を聞かれたんですか?
H.K 実際にこれをつくったことがありますか?とか。なんかその質問の印象が強すぎて、他をあんまり覚えてなくて。「ここを改善予定です!」と答えたことは覚えています(笑)。
でも堂々と答えるのは大事ですもんね(笑)。最終的には全195組の中から26組のセミファイナリストに選ばれました。コンテストの後で何か変化はありましたか?
H.K 今後のグループワークでこうしたら上手く作業できるとか、この活動が良い参考になりました。
O.S みんなのおかげでここまで出来ました! 本当にありがとうございます!
ありがとうございました!
女子美生ならではの女性目線のアイデアと、高いデザインスキルを活かすことのできるチームおともだちの今後に注目していきたい。
本記事は、2年生の授業「コミュニケーション特論II」で制作されました。
指導教員:石橋勝利 株式会社アクシス デザインデベロップメント ディレクター